あけましておめでとうございます。
まだ年賀状を書いて…。
前回、ニーチェの著書に関することのみで終わってしまった。今回は 1 冊、読了した書籍 (2)。
世界を変えるデザイン – シンシア・スミス
テレビ東京系列放送の「カンブリア宮殿 大忘年会」で、日本はものづくりに関して分かっていない人がものづくりのことを言っているという内容のことを村上龍 さんが発言してた。要は理解していない地位のある方たちのこと。
ものづくりにおいて日本は秀でていると言われてるが、そういった部分を再考するにもこの書籍は有益と思う。
特別に魅力的というわけでなく、機能も限られていることが多く、価格は非常に安い。だが、そんなデザインが人間の生活を変え、時には命を救う力さえ秘めているのだ。
デザイナーが従来、先進工業国に住む 10 パーセントの最富裕層消費者向けにしかデザインをしていないことに目を向け、残り 90 パーセントのためのデザインについて、すべて具体例とともに書かれている。
社会的責任デザイン、デザイナーが (デザイナー以外も) ものづくりを通じて社会起業を考えることのできるきっかけになる。
最近では社会起業に関する書籍が多く発売されているが、どれも持続可能性という部分が非常に重要な項目として取りあげられている。この点が不足しては届かない。
それに加え「キックスタート」という事項はあらゆるこういった活動に共通するのではないだろうか。
「手頃な値段がすべてなのではない。手頃な値段しかないのだ」
社会貢献と書くと、なんだかうさんくささがつきまとうこともあるかと思うが、そういったことが一切なく、読み進めるにつれワクワクとしてくる。
僕は普段意識していないことをする、たとえば「赤い羽根共同募金」に賛同することですら、偽善と感じていた時期もあった。今ではそんなことはないが、何が変わったのだろう。
10 年ほど、書籍、マニュアル、教育コンテンツ、主に広告を中心としたウェブデザインに関わってきたのだが、特に後半、広告に関することに携わる様になってからはこういった視点はまったく欠落していた。
プロダクト以外のものづくりにかかわっている方にも一読頂きたい、良書と思う。