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読了した書籍 (7) 〜「フォークの歯はなぜ四本になったか」

ヘンリー・ペトロスキー著、忠平美幸 さん訳の「フォークの歯はなぜ四本になったか」は、実用品の進化論と副題にある様に、もの、道具の歴史をひもとき、いかに現代の形状に至ったかを実例を豊富に示しながら進行します。
著者 (Wikipedia) の専門は土木工学、失敗学ということで、デザインに関する定説「形は機能にしたがう (From Follows Function)」に対して、失敗学の見地から考察したものになります。

再発売された昨年の 1 月に購入したのですが、今ごろ…。
学生のころに読みましたが、理解した様なしていない様な具合でした。
ただ絶版後は高値にて取引されていましたので、確か「おっ」と思い購入したのですね。

自宅にあるフォークの歯が 1 本のみ鋭利なことに気がつき、思いだしての再読です。

最初にナイフから題名にある様にフォークへの進化に触れています。
フォークが重要な役割を果たす 14 世紀ころになるまでは、ナイフを両手に持って食事をしていたのですね。
肉に片手でナイフを刺して、もう片手で切る、その行為とその後の扱いづらさは想像できるかと思います。
1 本から 2 本、3 本、そして 4 本となった理由、5 本、6 本のものが存在する理由は読まれることをお勧めします。

フォークの進化が、今度はテーブルナイフの進化に大きな影響を与えた。食べ物をより効率的に突き刺す道具としてフォークが使われるようになると、ナイフの刃先はとがっている必要がなくなったのである。だが、役に立たなくても昔の痕跡をとどめている人工物はいくらでもあるのに、なぜナイフはそうならなかったか ?

第 1 章はこうして時代背景とともにスプーン、はしと続きます。

第 2 章は、第 1 章を踏まえ「形は失敗にしたがう」と題し「完ぺきになった」人工物はありえないという点に触れています。

すべての考案物のデザインは、多かれ少なかれ失敗である。その理由は、要求のうちのどれかをデザインがないがしろにしているからか、デザインが妥協の産物であり、妥協すること自体が何らかの失敗を意味するからかのいずれかである。……

第 3 章以降はねじから始まり、ペーパークリップ、ファスナー、プルトップ等の紹介、僕らが子供のころはマクドナルドのハンバーガーがプラスチック容器に入っていたことを思いだしたり (もちろんその内容は目を見張るものがあります) 商品の名称に関して触れている部分もあり、多彩な実例となっています。

第 13 章の「良が最良よりも良いとき」はこのごろの環境、社会問題を考えても、現在にも問題を投げかける非常に良い章ではないでしょうか。

ウェブサイトに置き換えても、技術が進化し続ける今、デザインはその都度体を成していますが、すぐに過渡期に突入してしまうということは以前から感じていたことでした。流れが速いだけで、その間も変わりながら体を成しています。
技術、テクノロジーという言葉をフォークに置き換えると、進化というこれから起きる部分を分かりやすく考えられますね。
それを見つけられるか、誰かが見つけてくれるかということよりも、生活様式の中でそこを気にしているか気づけるかなのでしょう。

本著とつながるなと感じる、原研哉 さん著「デザインのデザイン」と併せて読むと、取りあげている実例を含め面白いと思います。
そして、谷崎潤一郎 さん著「陰翳礼讃」も読みたくなります、きっと。

発明家、デザイナーや技術者でなくとも、生活様式とその都度に僕らが選択するもののデザイン、楽しい話です。

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