当記事は 2011 年 10 月 26 日に投稿されました。内容が現状と相違がある点等にご注意願います。
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読了した書籍〜「動物たちの反乱」- 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ

動物たちの反乱 – 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ」は、生態学、人類学を専門とする河合雅雄 さんと動物資源科学、ヒトと動物の関係学等を専門とする林良博 さんを中心として書かれた、人と野生生物の共生を考える書籍。

古来から現在までの歴史や日本固有の食文化をひもときながら、欧米に浸透しているワイルドライフ・マネジメント (野生生物管理) の必要性を提唱している。
データ重視の側面はあまりなく、歴史、経験、取材から導き出されているので、読みものとして、何が起きているのかを知るには良いだろう。
分かりやすいのだが、章ごとに著者が違うため若干散漫な印象があり、掘り下げるにはまた別の書籍が必要となるので、その点に関しては書籍や文献の推薦があると良いと感じた。

生物多様性分野ではよく言われる持続可能な利用を目的とし、保全、管理を行うことがワイルドライフ・マネジメントだが、もともとは王侯貴族の楽しみであった狩猟からその考えが発展したとある。
第十二章「日本人の動物観」と照らし合わせると、なじみにくい考え方であることは容易に想像ができる。
ただ、日本人が現代の様な文明を持ってしまった動物である以上は、保全、管理は避けられないことなのだろう。
まさに最近は題名にある様な「動物たちの反乱」がニュースとして多々流れている。

さて、ワイルドライフ・マネジメントに関しては第三章に以下の様に書かれている。

ワイルドライフ・マネジメントには大きく分けて三つの分野がある。それは、個体数管理、生息地管理、被害管理の三つである。
(中略)
ワイルドライフ・マネジメントが扱う対象は大きく三つに分けることができる。一つ目は、野生動物そのもの、二つ目は野生動物の生息地や被害が発生している場所の環境、三つ目はワイルドライフ・マネジメントにかかわる人間、あるいは被害を受けている人間の行動である。

第四章からは、ニホンザル、シカ等の生態、被害、保全、管理について各動物ごとに、また獣医学の見地から説明されている。
コラムにあるシカ肉の味と猟期の関係は、日本人にとっては面白い。

第十一章「獣害と地域住民の被害認識」では農家の方々の複雑な心情が語られている。
人が遊休地化してしまった里山を取り戻しつつ、動物との利害関係を正していくには時間がかかるだろうが、被害認識を軽減させる歩み方が必要という点は非常に重要であると感じる。

本書は、開発と乱獲の影響のみを訴え「動物たちがタイヘン !」という見方ではなく、これまでの歴史を踏まえ、人と動物が共生できる日本固有の境界線を探っている。
東京都内では比較的自然の多い場所に住んでいる僕も、第二章の本題「里山とは何か」をまず考える必要がありそうだ。

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